私たちはMINI を購入するとき、登山だけでなく普段使いも視野に入れていました。
お気に入りのザックが山でも街でも使用できたら嬉しいですよね。
この記事では、実際に「MINI」を日帰り登山と普段使いして良かった点と気になる点をレビューします。
「MINI」は日帰り登山はもちろん、普段使いにも積極的に使用したい万能ザックでした。
山と道「MINI」の基本的な情報は、以下の記事で写真たっぷりで紹介しているので見てみてください。
日帰り登山で使用してみた
7月に福島県の一切経山で使ってみました。
当日は夏空で気温が30℃近くある一方で、標高が高いため日陰で風が通ると快適でした。
総重量4.3kgでした。
ザックに入れていたのは、レインウェア(上下)、UL shirt、クッカー/バーナー、エマージェンシーキット、日焼け止め、カメラ、トレッキングポール、食料、水、貴重品です。
良かったところ
なんといっても腰回りが自由
上半身で荷物を背負うため、腰から足を自由に動かすことができました。
岩場や階段などの段差で足を上げやすいです。これは怪我の防止にも有効です。
これまで一般的な登山ザックを長年使用してきて、「登山用ザックは腰で背負う」と呪文のように覚えていました。軽い荷物を前提として、MINIのように上半身全体で荷重を分散することで、腰ベルトは不要でした。腰ベルトによって動きが邪魔されないことが、こんなに快適だと初めて知りました。
ちなみに、一般的な腰荷重のザックで腰ベルトを外してショルダーベルトを締めて背負っても、MINI と同じような自由さは感じられません。上半身全体で荷重を分散するMINI の設計によるものだと思います。
ザックがフィットする
歩行中は、背中にぴったりとおんぶしているようにフィットしました。
MINI は背面がメッシュとなっており、滑り止めとして役立っています。また、ショルダーベルトをしっかりと締めて背負う設計であるため、あそびがないことにも起因しています。
ウルトラライトザックの特徴である簡易的なヒップベルトやそもそもヒップベルトがないザックでは、ザック自体が左右に振られてズレないか心配でした。
一般的な登山・ハイキングであれば、ヒップベルトを使用しなくても問題ありません。
MINI のヒップベルトは用途に応じて簡単に着脱可能であるため、身体を大きく動かすトレイルランニングでも、ヒップベルトを締めることで対応できそうです。
背負う・下ろすが早い
ザックを背負ったり下ろしたりするのがとても早いです。
ヒップベルトを締めなくてもよいため、MINI はちょっとした休憩の際にも気兼ねなくザックを下ろして休めます。
これまではザックを下ろすときは腰ベルトを緩め、背負うときにはまた調整する作業が手間でした。
大型ザックの場合、ちょっとした休憩の際は背負ったままということも良くありました。
大型ザックを担いだときの「ヨシッ!行くぞ!」という気持ちも好きですが、MINI は「いつでも休んでいいよ」というようなフレンドリーさを感じます。
ギアを素早く取り出せる
ギアを視認しやすく素早く取り出せました。
MINI はメインボディ内側の生地が白いため、内部が明るく視認性が良いです。
入口が小さい、内部が暗色の生地、一気室ザックだと、中身が見えづらいことがありました。
必要なギアをすぐ取り出せるのは、例えば雨が降ってきたときに濡れる範囲が少なくてすみます。
また、モノを探してザック内を荒らすことがなく、モノの紛失防止にも役立ちます。
疲れにくい
想像していたよりも、肩や上半身の疲れはありませんでした。
これまで腰荷重に慣れていたため、肩への負荷を心配していました。MINI は肩荷重というより、肩甲骨から胸骨を中心とした上半身全体荷重のため、肩へ負担が集中することはありませんでした。一見クッション性が低いように思えるショルダーベルトでしたが、よく考えられています。
足腰が自由であることで下半身の疲労も軽減されました。
ショルダーベルトをしっかりと締めることで、背筋が伸び、姿勢が悪くなりにくいことも疲れにくいことへ影響していると思います。
疲れないために、正しく背負う必要があります。
一般的な登山ザックとは背負う位置が違うので注意してください。
気になったところ
快適さは重量次第
荷物が重い場合は快適に歩けない可能性があります。
MINI は総重量8kgを想定したザックです。
今回の山行は行程の短い日帰り、夏の天気の安定した日でした。
食料や防寒着など全体的に荷物の量は少なく、総重量は4.3kgでした。
コースタイムが長くなれば水や食料が増えます。季節や天候により防寒着、山域によりヘルメットやビバーク装備などが必要になる場合もあり、装備は増えていきます。
今の私たちのテント泊装備を試しにパッキングしてみたところ、ベースウェイト(水・食料なし)6.1kgでした。
これに、水・食料・カメラを足すと8kgを越えます。この荷物で長時間背負い続けるのは難しいと感じました。
MINI の快適さを活かすには、総重量を意識してギアの軽量化することが必要です。
コンプレッションコードが使いにくい
コンプレッションコードの操作がしにくく、トレッキングポールを固定するときに手間取りました。
緩めたり締めたりしますが、片手での操作は困難でした。
MINI の場合、締めるときはバックルを押さえコード先端を引っ張ります。緩めるときはバックルを立てて持ち、本体側のコードを引っ張ります。
一般的なザックでは、コードが平ベルトです。締めるときは片手でベルト先端を引くだけです。緩めるときも片手でバックルを立てるだけです。
両手で行うという一手間が増えるだけですが、慣れるまでは使いにくい部分です。
ボトルの出し入れがしにくい
サイドポケットのボトルが出し入れしにくいです。
サイドポケットのボトルを取り出す際は、ショルダーベルトを緩める必要がありました。
公式サイトでも取り出しにくい時はストラップを緩めるよう記載されています。
公式サイトでは「ボトルと同一側のショルダーベルト」を緩めていますが、個人的には反対側のベルトを緩めるほうが良かったです。どちらもボトルに手が届きますが、反対側のベルトを緩めたときはボトルを目視で確認することができます。
背負ったまま出し入れができると足を止める時間が少なくて良いですよね。
これについてはショルダーベルトに付けるボトルホルスターを使用することや、ハイドレーションパックで解決ができます。
そもそも身体が柔らかい人は問題にならないんでしょうかね。ストレッチしないと。
Minimalist Padが暑い
やはり、背部のMinimalist Padが暑かったです。
背中だけぽかぽかし、熱がこもってしまいます。ときどき胸を張るような体勢で背中に隙間を作り、風を通していました。
それでもザックを下ろしたときは、背中にかなり汗をかいていることに気付きました。
今回のような夏の気温が高い日は、そもそも全身が暑いため、特別背中の暑さだけが気になることはありませんでした。
山歩きしやすい気候の時は背部以外が快適なため、背中の暑さがかなり気になります。
まだ私たちは使用したことがありませんが、秋や残雪期は暖かくて心地よいかもしれませんね。
比較的温暖な時期に快適に歩くためには別売りの「Breathable Pad for MINI」を購入することを検討すると良いかもしれません。私たちも購入を検討しています。
街でも使用してみた
私たちは、MINI 購入前から「山だけでなく街でも活用できるか」を気にしていました。
実際に使用してみた感想と、普段使いでの注意点をレビューします。
MINI の普段使いについて、山と道では以下のように説明しています。
街で使っているお客様もいらっしゃいますが、普段使い用にデザインされているバックパックではないため、ロールトップが長く開け閉めが若干しずらいなどの問題があります。それらを除けば、MINIの軽量さや荷重バランスの良さは普段使いでも快適ですし、食材の買い出し等で荷物が増えても収納できたり、重い荷物も比較的楽に運べる等のメリットはあります。
引用 MINI | 山と道 U.L. HIKE & BACKPACKING
使用場面
3泊4日の旅行で使用しました。移動手段は徒歩・バス・電車・新幹線です。
持ち物は、着替え2日分(春服)、洗面用品、化粧品、ペットボトル、折り畳み傘、iPad、お土産でした。貴重品は取り出すいようにサコッシュに入れていました。
良かったところ
収納力がある
3泊4日分の荷物とお土産を難なく収納できました。
容量25-30Lなのでかなり収納力があります。
今はどこでも買物袋が有料なので、バッグの収納力があると助かります。
テント泊では不安だった耐荷重8kgでも、街ではかなり余裕があります。
フロントポケットは山と同じように便利で、羽織ものを入れておき、新幹線車内など寒いときにすぐ着ることができました。
Minimalist Pad は背部入れたままでした。
同じポケットにiPad を収納することでクッションの役割になりました。
ちなみに街歩きでは運動量が少ないためか、背中に熱は感じるものの汗をかくほどではありませんでした。ただし、真夏はさすがに暑いと思います。
腰ベルトが外せる
腰ベルトを外すことができるため普段使いでも違和感がありません。
私たちがMINI のほかにメインで活用しているHyperlite Mountain Gear のザックは、腰ベルトが取り外せないため街歩きでは邪魔になってしまいます。
腰ベルトは普段使いでは基本的にオーバースペックで、いかにも登山用ザックという見た目なので、取り外すことで一気に街仕様になります。
サイドポケットが便利
サイドポケットはあると便利です。
左右のサイドポケットには500mlのペットボトルと折り畳み傘をそれぞれ入れていました。すぐに取り出すことができるので良かったです。
特に雨の日は、濡れた折り畳み傘をメインボディ内に入れないので、他のモノが濡れません。
気になった点
ファッションを選ぶ
着る服によってはミスマッチなファッションになります。
MINI を正確な位置で背負うとザックがかなり上方にきて、ショルダーベルトが締まった状態です。
普段使いのリュックは大体腰あたりの位置で背負うため違和感がありました。
デザインは個人の好みもあります。
私たちは、MINI のデザインが好きなので、ショルダーベルトを締めていても「ダサい」という印象にはならないと感じます。
ただし服装は選ぶので、カジュアルな服装で使用するのがベストです。
下ろすのが面倒
ザックを下ろすのに毎回ショルダーベルトを緩める必要があります。
通常、電車やバスに乗る時に立つ場合では胸の前に、座る場合では膝の上にザックを持ってくると思います。
その度にショルダーベルトを緩める必要があり多少手間です。
ロールトップが面倒
ロールトップは混雑した電車やバスの中では、開閉がしにくいです。
人に当たらないよう少しだけ開くようにすると中のものを取り出しにくいですし、目一杯開けるには腕が周りに当たらないよう慎重になります。
移動中使用するものはフロントポケットやサコッシュに入れておくことで対処できます。
座っている場合は、足元にザックを置く事で電車内でも開けることができました。
中の物の取り出しやすさはジッパー式リュックには劣ってしまいます。
結局、普段使いはできるのか
街でも使用できました。
収納力があり、背負っていて疲れない特徴は街でも有用でした。
以下のような気になる点があります。
自分の行動や使い方において問題ないかを考えてみてください。
・電車やバスなど混みあう公共交通機関でのザックの取り扱い
・ファッションとの相性
・すぐ使う物の収納方法
まとめ
日帰り登山では快適に使用できました。
一般の登山ザックとの一番の違いは「腰回りが自由でザックがしっかり上半身にフィットすること」です。疲労軽減にも寄与し、コースタイムの短縮や怪我防止につながります。
普段使いでは、気になる点はあるものの不自由なく使用することができました。
「軽い・収納力がある・重い荷物を楽に背負える」という特徴は、山だけではなく、普段使いでも優れています。山用のザックなので普段使いにはいくつか気になる点はありますが、工夫次第で解決できます。
MINIは山だけでなく、街でも活用できるオールラウンダーなザックです。
このザックの特徴を理解し、装備が軽量であれば、末永く寄り添ってくれる相棒になることでしょう。
街でMINIを背負っている人を見つけたら、間違いなく山登りをする人だとわかるのもおもしろいですね。
今後はテント泊での使用やマザーズバッグとしての使用についても伝えていきたいと思います。
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