山に行くと必ず一度は見かける大人気のザック「山と道 MINI」。
自分と同じものを持っている人に会うと気恥ずかしい気持ちになりますが、多くの人が愛用するザックは製品自体が優れているのだと思います。
私たちもいろいろな思いを巡らせながら、2022年にMINIを購入をすることになりました。MINI 購入の決め手となったのは、「シンプルでおしゃれなデザイン」と「2022年モデルの生地変更で経年劣化に強くなったこと」です。
この記事では、MINIの購入を考えている方へMINIの詳細をわかりやすく説明します。
次の記事では、実際に山や街で使用したレビューを紹介しています。
山と道「MINI」とは
「山と道」は鎌倉に店舗を構える日本のウルトラライトハイキングのガレージブランドです。
公式サイトを覗くと、それぞれの製品に開発の背景や思い、特徴がものすごく詳細に記載されています。そのコンテンツの充実度はウルトラライトハイクの世界の入口となっています。
山と道には複数のザックがありますが、MINIは日帰りから1泊2日程度が目安の小型ザックです。
MINIの特徴
・日帰りからテント泊まで可能なウルトラライトのザック
・容量30L前後、重量400g以下
・上半身で背負う肩荷重
・フレームレス
容量30L前後のザックですが、重量は「400g以下」です。
一般的な登山用品メーカーの同サイズのザックはおおよそ1000gである物が多く、MINIの軽さが際立ちます。
腰荷重ではなく上半身全体で荷重を分散して背負います。
荷重のためのウエストベルトや形を保つためのフレームはなく、パックウェイト8kg程度を想定して作られています。それ以上の重量の場合、背負い心地がよくなかったり、製品自体を痛めてしまう可能性があります。
1泊以上の荷物を想定すると、一般的な登山装備の場合は見直しが必要になるかもしれません。
MINI 購入の前に、装備が8kg程度以下となるか確認することをおすすめします。
サイズについて
MINI は2種類のサイズがあり、身長、体重、背面長に合わせて選択します。
サイズ | Mサイズ | Lサイズ |
容量 | 25-30L | 28-32L |
重量 | 380g | 398g |
Size | M | L |
---|---|---|
体重 / Weight [kg] | 42~69 | 67~85 |
身長 / Height [cm] | 150~175 | 170~190 |
背面長 / Back Length [cm] | 45~54 | 54~57 |
生地
2022年モデルから、フロントポケットとボトムの素材がBlack UHPE Fine Grid 128g/㎡に変更になりました。
Black UHPE(ブラックウープ)は山と道が5年以上費やして開発した新しい生地です。
なんと裏面のコーティングも取り払っています(そのため表面に撥水・撥油加工が施されています)。軽量ながら強度を併せ持ち、加水分解せず経年劣化に強いという特徴があります。
軽さと強度と引き換えに防水性がなくなっているので、荷物は中でパックライナーや防水スタッフサックを使用するなど防水対策を行う必要があります。
2022年モデルから生地の防水性はなくなりました。
装備を守るために防水対策をしっかりと行ってください。
価格
価格は¥30,800-(税込)です。
サイズだけで考えると、30L前後のザックで3万円は高いと感じますが、国内で作成されており、作り手の思いを加味すると納得できる価格だと考えています。
購入方法
公式サイトでオンラインの抽選販売に応募するか、取扱店舗で在庫を探すかとなります。
公式サイトでは、製品販売スケジュールが公開されています。
SNSでは製品販売に関するお知らせがあるため、各種SNSでフォローしておくとわかりやすいです。
【2022/8/19追記】
2023年モデルから予約販売となりました。
2022年9月2日までの申し込みが必要です。申し込み数が生産数を上回る商品は抽選になります。
山と道製品の取扱店は公式サイトに掲載されており、店舗では在庫が残っていることがあります。
近くに取扱店舗があれば足を運んでみると良いでしょう。
MINI とMINI2 の違い
MINI | MINI2 | |
容量 | Mサイズ:25-30L Lサイズ:28-32L | Mサイズ:25-35L Lサイズ:28-38L |
重量 | Mサイズ:380g Lサイズ:398g | Mサイズ:398g Lサイズ:416g |
生地 | フロントポケット:BLACK UHPE ボトム:BLACK UHPE | フロントポケット:Hard Mesh ボトム:X-Pac |
ポケット | ジップ式 | メッシュ |
価格 | ¥30,800- | \28,050- |
MINI とMINI2 の大きな違いはポケットです。
MINI2 はフロントポケットとサイドポケットがメッシュになっているため、よりファストパッキングに向いています。メッシュのポケットは、ギアへのアクセスをより早く簡便にしており、テントなど濡れたギアを収納することもできます。
私たちは普段使いや旅行などでも使用したいと考え、メッシュポケットは防犯的観点や物の落下などが心配だったため、MINI を選びました。
MINI の各部を詳しく説明
私たちが購入したMINI 2022年モデルについて、実際に触れてみた様子を写真付きで説明します。
新生地ブラックウープ
フロントポケットとボトム部分が山と道オリジナル生地のブラックウープです。
両面ともザラザラした感触で伸びない素材です。
加水分解せず、経年劣化に強いというこの生地は私たちがMINIを購入に至った決め手の一つです。
裏面のコーティングがないため、生地には撥水・撥油加工されています。
厚みのあるショルダーストラップ
一般的な同サイズのザックと比較して、ショルダーストラップは厚みがあります。
腰荷重ではなく、肩甲骨から胸骨で荷重を分散するようパッドの厚さと硬さが設計されています。
上半身で背負う仕様なので、ザックが身体の上の方に固定されます。
正確な位置で背負う必要があるため、肩に通した後アジャスターで調節します。アジャスターはストラップを斜め後方へ引くとスムーズに締まります。
横ブレしないバックパネル
中央部分は左右にずれにくいようメッシュ素材となっており、濡れると浸水します。
後述するヒップベルトがなくとも大きく振られることがありません。
背面の内部にはフレームの代わりとなるMinimalist Padが収納されています。
このパッドにより荷物の凹凸を感じることなく、フレームレスでも背中にフィットします。
ただし、断熱性のある素材のため背中に蒸れや暑さを感じることもあります。
このMinimalist Padの詳細は後述します。
片手で留められるスターナムストラップ
片手でも留めることができるよう、バックルがショルダーストラップに付いています。
全ザックがこの構造になると良いと思うくらい画期的です。
スターナムストラップは9cm程度上下に動かして位置を調節でき、幅広い体型の方にフィットします。
ブレ防止のヒップベルト
一般的なザックと比べて極めて簡易的なヒップベルトです。
ブレ防止が目的であり、トレイルランや岩場などバランスを取りたい場面で装着するのが有用です。
目的に応じて使用できるよう、簡単に取り外すことができます。
+5リットルの容量があるロールトップ
ロールトップを最大まで使用すると、ロールトップ部分だけで大体5〜6Lくらいの容量があります。
荷物が少ないときは小さくすることができ、荷物が多いときは拡張できる応用力に優れています。
赤いテープ同士を引っ張ると開き、手前の赤いテープと紐を引くことで閉めます。
開けるとき、引っ張った手前のテープが生地に擦れ、生地が引っ張られるため長く使用したときにこの部分の生地が劣化していくのではないかと少し気になります。
大きなフロントポケット
大きなフロントポケットがあり、防寒着やシェルを収納するには十分です。
生地が伸びないため、厚みがある硬いものを詰めるには向いていません。
ジッパーですぐにアクセスできるため、行動食や日焼け止めなど行動中頻繁に使用するものを入れると良いです。
内側にはフックがついており、失くしがちな車の鍵などを留められます。
収納力のあるサイドポケット
サイドポケットはメッシュ状の生地でよく伸びます。
深さがあるため、1Lのナルゲンボトルも問題なく収納できます。
トレッキングポールはBlack DiamondのディスタンスZで、収納時の長さは33cmです。折り畳み式のトレッキングポールはサイドポケットに収納できます。
伸縮式のトレッキングポール、ギアループとボトムアタッチメントループで取り付けることができました。ロールトップ部分に荷物がないとザックから上へトレッキングポールが突き出てしまいます。
視認性の高いメインボディ
内側の生地が白いため、中に入っているものが見やすいです。必要なモノをすぐ手に取ることができます。
生地自体は、よくテントのフロアなどに使用されているようなペタペタした素材です。
両サイドは特に生地の薄さが心配になります。
用途豊富なMinimalist Pad
フレームの代わりにスリーピングマットとなるMinimalist Padがついています。
メインボディ内のマジックテープ式ポケットに収納されています。
ぴったりサイズのため、中に物が多く入っている状態での出し入れは困難です。
家にある他のフォームマットと並べてみました。
上から、THERM-A-REST「リッジレスト ソーライト」、THERM-A-REST「Zライトソル」、「Minimalist Pad」です。
それぞれ厚みは1.6cm、2cm、0.5cmです。
厚みのとおり寝心地は快適とは言えません。
厚さ0.5cmというと100円均で売っているようなヨガマットと同じくらいです。
ご自身の睡眠耐性を考慮した上で、スリーピングパッドとして使用する際は事前にテストすることを推奨します。
私が床に敷いて寝たときは、「快適ではないが昼寝はできそう(長時間は向かない)」という感想でしたが、繊細な夫は無理なようでした。
Minimalist Padは断熱性の高い素材であり、寒いときにプラスして使用する、エマージェンシー用として体幹の冷えを防ぐことができます。
天気の良い日などの行動中はかなり暑さを感じるため、別売りのBreathable Pad for MINIというメッシュの背面パッドを検討しています。
便利なコードとループ
フロントポケット部分にバンジーコード、両サイドにコンプレッションコード、ボトムにボトムアタッチメントループがついています。使い方によってザックに拡張性を持たせることができます。
サイドのコンプレッションコードは一般的な平ベルトと比較すると、ちょっとクセがあり慣れるまで調整しづらいと感じました。次の記事にコンプレッションコードのクセについて記載しています。
マットは上記写真のように取り付けることができました。ボトムアタッチメントループは重量のあるものはゴムが伸びて引っ張られるため取り付けに適していません。
実際にパッキングしてみた
日帰り、1泊2日テント泊を想定して私たちの装備をパッキングしてみました。
※食料と水とカメラは含んでいません。
日帰り装備
コースタイムが6~8時間の3シーズンを想定して装備を並べてみました。
ベースウェイトは2.65kgでした。
サイドポケットにはボトルとトレッキングポールを収納しています。
フロントポケットに長袖シャツと手拭いを入れ、残りのギアは全てメインボディへ詰めています。
この重量であれば、上半身全体にほどよく荷重が分散し、背負っていることに負担を感じません。
食糧と水を適切な位置にパッキングすれば、あと2kg重量が増えても難なく背負える印象です。
装備の軽量化ができていなくても、日帰りでは容量も十分で快適に背負える
テント泊装備
3シーズン、1泊2日のテント泊を想定して装備を並べてみました。
ベースウェイトは6.1kgでした。
食糧や水、カメラを持つことを考慮すると総重量は9〜10kgになり、肩への負担が気になります。
予想以上に重さを感じ、長時間歩き続けるには不安があります。
私たちは「MINI でテント泊ができるか」が購入までの一番の懸念点でした。
テント泊では公式サイトが推奨する8kg程への装備の見直しが必要
パートナーと行く場合は荷物を分担できるため、極端な軽量化ができていなくてもテント泊に対応できると思います。
装備の重量だけでなく、体積にも注意が必要です。
今回、テントは内部に収納できなかったため外付けしました。
トップストラップの固定のみだと不安定であり揺れていくうちにズレ落ちないかが気になりました。
ループのあるスタッフサックにベルトを通せば落下は防げますが、やはり左右へのずれは生じます。
実際にテント泊を経験したら詳細にレビューします。
外付けアクセサリーが使用できるか
ボトルホルダー
私たちが使用しているGanite Gearのボトルホルスターはスターナムストラップのベルトとショルダーベルトへ留めることで装着可能です。
一般的なザックよりボトルが胸より下の位置に斜めに設置されますが、落ちる心配はありません。
カメラホルスター
カメラホルスターも取り付けられます。
ショルダーストラップは厚みがあり全体を挟むことはできないため、スターナムストラップがついているベルトに固定しています。固定ベルトが細いため、重量のあるカメラを固定した場合は揺れが気になりました。
まとめ
2022年モデルの山と道 MINIの詳細と日帰り登山・テント泊登山のパッキングを紹介しました。
注意点はありますが、汎用性のあるサイズで拡張性も高いため幅広いかたにおすすめできます。
装備の見直しや防水対策を検討し、MINI で行く快適な山歩きを楽しんでください。
次の記事では、実際に登山で使用した感想を紹介しています。
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